人通りの少ない、閑静な場所にそれはある。
私の憩いの場所。
「こんにちは」
お店の前に来ると、すぐそう声をかけられ世間話をはさむ。世間話をするくらいになるのに時間はそうかからなかった。私は店内に入ると、既にいた友人と目が合う。友人は、私を見ると笑みを浮かべた。いまや、仲良しも同然なのだ。
最初は違った。
ゆっくりとした時間を過ごしたくて、一人でそこに行くようになった。外観もそうなのだが、アンティークを基調としたインテリアも飾ってある綺麗な花も全て私好みで。長閑に鼓膜に揺れるBGMや、店内にいる他の人達の心地のいい喋り声、とにかく心がほっとする。
最初の頃を思い出しながら注文した珈琲を一口のみ、店員さん達の手作りだというカップを指でなぞりながら小さく息をはく。
隣に座っている友人も、最初はお互い一人だった。ただ、ここは周りと自然に仲間になれる。そんな雰囲気がある。壁を感じさせないのは、きっとお店の雰囲気が暖かく、素敵な場所だからなのだとふと思う。
「私が作った鞄みた?」
友人が、そう不敵に笑って、作った鞄を見せてくれる。ここは、ハンドメイドのものを置いてくれるところでもある、壁面ギャラリーとして、写真や絵を飾ることもできる、楽しい気持ちを作り出してくれるお店というのはこういう事をいう。
友人との他愛もない話をしながらゆったりと流れる時間に、私はひたる。珈琲の良い匂いと、ここで出会った友人に囲まれて。
私はきっと、何度もここに足を運ぶのだろう。ここで作った仲間たちとのゆったり流れる時間に。身を委ねたくなるこの珈琲時間を堪能しに。